Photograph by Martyn Gallina-Jones
小松川看板プロジェクトは、障碍者支援のために設立された団体、EARTH BASEと共同で行われました。 このプロジェクトは、2011年にタイムズスクエアで行われた呉によるパブリックアート〝Counting Sheep〟の写真を看板にして、東京のイーストエンドに位置する小松川のメインストリートに設置した作品です。 小松川は、彼が育った地域であると同時に、ニューヨークのように多くの移民が暮らす活気あふれる街でもあります。 彼はこのプロジェクトを通して、現代社会において人びとを分断する様々な境界線、例えば人種、イデオロギー、階級、経済などに対する批評を試みています。 この作品では、それらの境界線を、彫刻と写真、安息の徴である羊と眠らない街、タイムズスクエアと東京といった、様ざまな境界を用いて象徴的に表現しています。 人混みの中に置かれた羊の写真は、境界線に囚われた人びとに「この世界で自分を見失わない」ことの大切さを伝えています。 またここでは、商業主義と芸術の境界を越えることを通して、彼のユーモアが表現されてもいます。
Illustrated by Taeko Wakahara